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クニノトコタチ(国之常立尊)

更新日:2023年6月4日



光雲神社の末社日吉神社にお祀りされているクニノトコタチ(国之常立神)は、アメノトコタチ(天之常立神)と対を成した関係性にあると考えられていますが、『古事記』にはアメノトコタチは別天津神(ことあまつかみ)の一柱であるのに対し、クニノトコタチは神世七代(かみよななよ)の最初に生まれた神として記されているのが興味深い点です。

クニノトコタチ=地、アメノトコタチ=天という役割分担を示唆していると思われますが、二柱の詳細な記載が『古事記』には無いので謎も多い神です。



  目次




記紀神話において

「別天津神」の神々やクニノトコタチは、男神でも女神でもない独神(ひとりがみ)であるとされていますが、『日本書紀』によると「純男(陽気によって受けて生まれた神で、陰気を受けない純粋な男性)」の神であると記されており、男性的な側面もあるとされています。


『古事記』においてアメノミナカヌシ、タカミムスビ、カミムスビ、ウマシアシカビヒコヂ、アメノトコタチといった「別天津神」の神々は、現れた後にすぐさま身を隠されてしまいます。



続いて「神世七代」の神々も「生まれた後に身を隠した」とあり、天地創造に関わる重要な神々であるものの、すぐに身を隠してしまったので謎が多いですが、「神世七代」の一番最後に産まれた夫婦神イザナギとイザナミが「国生み」や「神産み」で大いに活躍します。





根源神としての信仰

クニノトコタチは『日本書紀』において最初に生まれた神様と記され、古くから根源神、創造神としての信仰が厚く、外宮(三重県伊勢市)の渡会氏が興した「伊勢神道」(度会神道)ではアメノミナカヌシと共にクニノトコタチが根源神とされトヨウケヒメの権威性の向上を担う事になり、その影響を受け継いだ「吉田神道」では、クニノトコタチはアメノミナカヌシと同一神と考えられてきました。


大元尊神(宇宙の根源の神、大元の根源の神)に位置付けられ、その流れを汲む教派神道諸派でもクニノトコタチを重要な神としています。


明治に起こった大本教はその筆頭といえるもので、創始者である出口なおにクニノトコタチの御魂が憑依し神示を授けたのが教団の始まりとされています。


平安時代末期以降の本地垂迹思想の展開によって、神仏習合の考えが深まると、薬師如来の垂迹がクニノトコタチとなりましたが、鎌倉時代中期から広まった仏が神の権化で、神が主で仏が従うとされる反本地垂迹の考えで行くと、クニノトコタチの垂迹が薬師如来となります。


神名の「国之常立」は、「国」を「国土」、「常」を「永久」と解し、「国土が永久に続くこと」を意味する神とされ、大地や国土の床(とこ、土台、大地)の成り立ちを意味するともされています。


別天津神が天(宇宙)の創造に関する神々だとすると、神名からするに「国土や大地の定立」という重要な役割を担うのがクニノトコタチ。


天があって地があるという概念が、古代日本の中においても基本としてあったことが伺えます。


「別天津神」と「神世七代」の関係性も、それぞれ別々の神々ではなく、宇宙(天)に内包された、地球(国)と捉えると全てが一つに繋がるので、深淵かつドラマチックな『古事記』の世界観を見る上で重要な神がクニノトコタチではないでしょうか。




クニノトコタチの系譜



【神格】

国土安泰

国家守護

天地創造神

根源神

大地の永久性





【別名】

大元尊神

国常立尊

国底立尊





【お祀りする神社】

高椅神社(栃木県小山市)

聖神社(埼玉県秩父市)

十二所神社(埼玉県川口市南鳩ヶ谷)

御岩神社(茨城県日立市)

蘇羽鷹神社(千葉県松戸市)

大宮神社 (千葉県千葉市若葉区)

長尾神社(神奈川県川崎市多摩区)

諸大明神社(愛知県春日井市松本町)

山津照神社(滋賀県米原市)

城南宮(京都府京都市伏見区)

西代神社 (大阪府河内長野市)

国常立神社 (奈良県橿原市、天香久山山頂)

玉置神社(奈良県吉野郡十津川村)

熊野速玉大社(和歌山県新宮市)の相殿

若桜神社(鳥取県八頭郡若桜町)

小村神社(高知県高岡郡日高村)

穂見神社(山梨県韮崎市旭町)

御嶽神社(埼玉県久喜市本町)

御嶽神社(埼玉県久喜市南)

他全国の神社






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