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執筆者の写真光雲神社の神主

「おみくじ」の引き方



神社に参拝した時は、おみくじを引いて、その結果に一喜一憂するのを楽しみにされている方も多いでしょう。おみくじは神社に参拝する楽しみのひとつですよね。


おみくじを引いて、誰もが最初に注目するのは「大吉」や「中吉」といった吉凶のところ。吉凶だけを見て境内に結びつけてしまう方もいるかも知れませんが、なかに書かれたメッセージを読んでみることをお勧めします。


その内容は、自分の未来を暗示していたり、夢や目標がある場合はそれを達成するヒントが記されていたりします。悩みごとがあればその解決の糸口を授かる可能性もあるのです。


今回はそんな「おみくじ」の歴史や皆さまが抱く疑問に迫っていきたいと思います。


おみくじの歴史

現代のおみくじは個人の運勢を占うものですが、「御神籤」と書かれるようにもともとは神意をうかがうためのものでした。日本では古来より国の政治や祭事についての重要なことを決める際や作物の作柄や天候を予測したりする時にも占いをする習慣がありました。

例えば、亀卜(きぼく)といってカメの甲羅に熱を加えて、生じたヒビの割れ具合を見て占うなどの方法があったようです。


おみくじもこのような占いのひとつで、古くは「日本書紀」の斉明天皇四年十一月の條に有馬皇子の謀反の成否を占う方法として、おみくじの古い形である「短籍(ひねりぶみ)」が行われたという記述があります。「ひねりぶみ」とは紙片か木簡でつくったくじのことです。


今のような形式のおみくじが考案されたのは平安時代のこととされます。

天台宗の僧である良源(りょうげん)上人が人の運勢や吉凶を百の漢詩に表し、社寺に取り入れられて発展しました。これを元三大師百籤(がんざんだいしひゃくせん)といいます。


その後、江戸時代に入り、同じく天台宗の僧である天海(てんかい)上人が元三大師百籤を改良して、一から百までの番号を振り、引いた番号の文面で占うという形に仕立て直しました。これが広く庶民に広まり、現代に引き継がれています。


おみくじQ&A

○ おみくじは神社に参拝した時、どのタイミングで引けばよい?


決まったルールはありませんが、神社にいらしたら、鳥居をくぐり、手水舎で心身を清め、参道を通って神前に進み拝礼をします。

その後におみくじのメッセージを授かるのが、いちばん望ましいでしょう。



○ おみくじで縁起が良い順番は?


① 大吉→中吉→小吉→吉→末吉→凶

② 大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶

③ 大吉→中吉→小吉→吉→半吉→末吉→末小吉→凶→小凶→半凶→末凶→大凶


おみくじの運勢順は、上記の例に限らず複数のパターンがあります。なかには③のように12段階に分かれているものもあります。

神社によってそれぞれの解釈があって、どれが正解というものはありません。

実はおみくじには「決まった運勢順はない」というのが結論になります。


ちなみに光雲神社のおみくじは①の順番としています。気になる場合は神社の社務所等で聞いてみるとよいでしょう。



○ 凶を引いてしまったらどうする?


なかには「凶を引いてしまうのがいやだから、おみくじは引かない」という方もいらっしゃいますが、おみくじでは吉凶は気にする必要はありません。


凶の場合は厳しい言葉が並んでいますが、それらを日々の生活の指針にして暮らせば、災い転じて福となすことができるのです。逆に「吉」の方向へ向かうためのガイドが書いてあると捉えてください。



○ おみくじに書かれた内容をどう読めばよい?


おみくじに書かれた内容をただ漠然と読むだけでは、あまりピンとこないことも多いのではないでしょうか。


まず大切なのは、今自分が目標としていること、悩んでいることなどを明確にしてみることです。入試や資格試験に合格したいであるとか、職場での人間関係であるとか、人それぞれにいろいろあると思います。


「願い」の内容を明確にした後にもう一度読み直すと見過ごしていたこれからの「自分のすべき行動」へのヒントとなる言葉が見つかったりするものです。

ぜひ、試してみて下さい。



○ おみくじは何度も引いてよい?


たとえ悪い運勢を引いてしまったとしてもその場で何度も引くことは避けましょう。

繰り返しになりますが、大切なのは吉凶ではなく、メッセージを授かるということです。


その時に授かった運勢を大切にし、なかに書いてある和歌や短歌などからも自分へのメッセージを探してみて下さい。



○ おみくじは持って帰ってもよい?


おみくじは持って帰って頂いて問題ありません。おみくじに書かれたことを繰り返し読んでみるのも良いと思います。


引いたその時にピンとこなかった内容であっても、時間をおいて読み直してみると、「こういうことだったんだな」と見えてくる場合もあります。


もちろん、神社で結んで帰っていただいても大丈夫です。

ただし、その時は神社が正規に設置した場所に結ぶようにしましょう。

境内の木の枝などに結ぶことは木を傷めてしまうことになるので、避けましょう。



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